診断は、客観的になされなければならない。
客観的事実に基づいて行うものだから、
納得性が高いのだ。

だから事例問題も、できるかぎり客観性を高め、
味気なく表現されるのだ。

だが、実際の企業はそんなに味気ないものではない。
まるで命があるモノのように感じることがある。
なぜなら、企業の中を構成する一番のものは
「人」だからだ。

性格も感情も持つ「人」がどのように行動するのか、
それが企業の個性を表し、特徴に繋がることになる。

そにせいか、実際の企業を訪問すると、
大企業や中小企業を問わず、個々に漂う雰囲気が違うのだ。

さて、同様に、事例問題に漂う雰囲気を
感じるために、事例問題を感情を込めて読んでみよう。
それも声に出して。

そして幾度か読んで、事例テーマが見えるようになったら、
そのテーマをより強調するように、
接続詞や助詞など、付け足して読んでみよう。
それが難しければ、まずは、
良い話は明るい声で、
マズイと思われる話は暗い声で読むだけでもいい。

たったそれだけでも、テーマがより克明に
なったように感じるだろう。

例えば、H25年度の組織事例を読んでみる。

5段落目の最後「多くの企業がこの市場に
参入してきたために、競争が激しくなって
A社の売上は思うように伸びなかった。」と
暗い声で読んでみよう。

すると次の6段落目の最初の
「A社の業績が急速に伸び始めたのは〜〜」という1文に
光が差したように感じないか?

暗い話の後に、明るい話だ。注目したい気分にならないか?

こんな風に、感情面から事例問題を読んでみると
出題者が強調したい部分が浮き上がって見えてくるのだ。

実はこんな風に、明るい声で読みたい部分は、
解答に使用するケースが多い。

マーケ事例にもたくさんの「明るい声」文章があった。
「評判がよく」「高い評価を得て」
「成功した」「感謝の声が寄せられた」
など、実に多かった。

与件にこれだけ多くの前向き表現がある場合、
問題点を問う設問は自ずと少なくなる。
プラン、提案、成功要因などを
問う場合が増えてくる。

こんな風に見てくると、
事例問題は、単に知識やフレームワークで
読めばいいものではないということがわかるだろう。

この週末には、過去問を読んでみてほしい。
声に出し、気持ちを込めて。
読解力の向上にも有効な練習法だ。